日本チェス協会ルール審議会制定
                                  1997.5.1

0章.序文

9章.引き分け

1章.チェスの性質と目的

10章.ギロチン

2章.チェス盤とチェス駒

11章.採点

3章.駒の動き

12章.対戦者の品行

4章.着手について

13章.アービターの役割

5章.ゲームの完了

14章.FIDEとJCA

6章.対局時計 15章.全国大会競技ルール

7章.不正規な局面について スイス式競技会

8章.棋譜の記録


 

 
序文

0.1
 この棋約( 以下日本棋約または単に本棋約という )は世界共通のゲームとしてのチェスの基本的、かつ唯一の国際統一ルールを「 The Laws of Chess ・ 1996改正 FIDE 」に準拠して制定されたもので、The Laws of Chess( 以下国際棋約と言う )の前言に従い、日本国領域内に於いては、国際棋約の一部である。従って、本棋約は公的私的を問わず、日本国領域内に於いて行われる全てのチェスゲーム活動の基本であり、チェスゲームを盤上で行うときの合意事項である。盤上であるいは競技会場で紛争が起きたとき、この棋約に従っていないものは、なん人も正当性を持つことはできない。

0.2
 本棋約の適用に於いて国際棋約との間に著しい矛盾のあるときは、本棋約の該当する条項は、JCAルール審議会により資格を与えられたものの裁定により、一時的、かつ部分的に失効する。本棋約と国際棋約との間に矛盾とは言えないまでも、重ならない部分があった場合、その部分については、次の場合に限り初めから本棋約の条項は適用されない。日本国領域内に於いて行われる全ての国際公式戦およびFIDEレイティング競技会において国際棋約に定められいてないことの内、決定がJCAの指定する主催者またはアービターの裁量権の範囲を越える場合。

0.3
 チェスのゲーム中に起こることの全てについては何人も予め規則だてできない。従って国際棋約および日本棋約はいずれも、予め、将来起きる全ての問題についての個々の解決法を具体的に指し示すことを目的としたものではない。この棋法の条項に規則だてられないことは、類似した状況からの無理の無い類推によって妥当な解決に到達することが可能なはずである。細か過ぎるルールは審判員の判断の自由を奪い、個々の事情の異なる問題が生じたとき、かえって、論理的かつ妥当な解決の邪魔となる恐れが強い。この棋約は競技会が開かれるときにはその競技会に応じて必要な資格をもち、的確な判断と完全な客観のできるアービターが仕切ることを前提として制定された。

0.4
 JCAに登録認可されている国内連盟及びクラブは国際棋約及び日本棋約に定めていないことについて棋約に矛盾しない限り、細則を定めることが出来る。但しその細則は、その連盟/クラブ内の活動に限って効力を持つものでありその枠を越えることはできない。連盟またはクラブがオープン競技会を開くに際しては如何なる細則の適用も、JCAの承認の後予め公表されたもの以外は効力をもたない。



ゲームのルール
 

 
1章:チェスゲームの性質と目的

1.1
 チェスのゲームはチェス盤と呼ばれる正方形の盤の上に二人の対戦者がチェス駒を交互に駒を移動する(動かす・着手)ことにより行われる。ゲームは対戦者の内白駒をもつもの(白番)から開始する。相手の着手が完了したとき、もう一方の対戦が着手する番(手番)となる。

1.2
 各対戦者の目的は相手のキングを攻撃し、相手が次の手で自分のキングを捕まえられることを避けられない状態にすることである。この状態をチェックメイトといい、チェックメイトされた対戦者がゲームの敗者となる。

1.3
 双方がチェックメイト出来ない局面が生じたときは引き分けとなる。


 

 
2章:チェス盤とチェス駒の最初の配置

2.1
 チェス盤は8x8の64のマス目を濃色(黒と言う)と薄色(白と言う)に交互に塗り分けた棋盤である。チェス盤は右隅が白マスになるように対戦者の間に置く。

2.2
 ゲームの初めに一人の対戦者が16個の白駒、相手が16個の黒駒をもつ。駒の種類と数は次の通り。
白のキング1個        黒のキング1個
白のクイン1個        黒のクイン1個
白のルーク2個        黒のルーク2個
白のビショップ2個      黒のビショップ2個
白のナイト2個        黒のナイト2個
白のポーン8個        黒のポーン8個

2.3
 チェス盤上の駒の最初の配置は次の通りです。

2.4
 マス目の8本の縦列を「 行 」( ファイル )、8本の横列を「 段 」( ランク )、隅から隅の同じ色の斜列を「 筋 」( ダイヤゴナル )と呼ぶ。


 

 3章:駒の動き

3.1
 一つの駒があるマス目には同色の駒を移動することはできない。駒が他の色の駒( 相手の駒 )が既にあるマス目に移動するときは、その相手の駒を取って、代わりに自分の駒を置く( 駒を取る・捕獲 )。3.23.5に示すように、あるマス目において( 相手の駒があるならば )捕獲できる位置にひとつ駒があるとき、そのマス目は攻撃されている( 駒の効きがある )ことになる。

3.2
( a )クインは置かれたマス目から縦、横、斜めの直行上のマス目に動ける。
( b )ルークは置かれたマス目から縦と横の直行上のマス目に動ける。
( c )ビショップは置かれたマス目から斜めの直行上のマス目に動ける。

3.3
 ナイトは同行、同段、同筋でないもっとも近いマス目に「 斜 」に動ける。中間に隣接した同行同段、同筋上に他の駒かあってもナイトの動きは妨げられない。

3.4
( a )ポーンは同行の直前のマス目に、他の駒が無いときに限って動ける。
( b )スタートのマス目にあるポーンは同行の2マス前方に、他の駒を飛び越さないとき、
    かつ到着のマス目に他の駒の無いときに限って動ける。
( c )ポーンは隣接前方の筋のマス目にある相手駒を捕獲しながらそのマス目に
    進むことができる。
( d )ポーンの効きマスを通過しながら、相手のポーンがスタートのマス目から
    2マス前進したとき、自陣から数えて5段目に進んでいるポーンは、
    相手のポーンが通過した隣接筋のマス目に進むことができる。
    この場合をアンパサンといい相手の駒は捕獲される( 通過捕獲 )。
( e )ポーンは自陣から数えて8段目に到達したとき、そのポーンは
    その着手の一部として同色のクイン、ルーク、ビショップ、ナイトに成り変わる
    ( 昇格 ・ 成る )。昇格する駒の選択はポーンを昇格させた対戦者の自由である。
    昇格した駒の効力は次の着手から有効である。

3.5
( A )キングは二つの方法で動ける。
   ( i )キングは相手の駒の効いていない隣接のマス目に動ける。
   ( A )「 キャスリング 」
        次の制限に従い、キングとルークは一つの着手の内に
        次のように同時に動かすことができる 
       → キングを同段に2マス動かして、そのキングの通過したマス目の隣に
         ルークを動かす。
     ( 1 )キャスリングが以後出来ない場合。
       〔 a 〕キングがその前に動いたことのある場合。
       〔 b 〕キャスリングに参加するルークがその前に動いたことのある場合。
     ( 2 )キャスリングが一時的に出来ない場合。
       〔 a 〕キングが相手の駒に攻撃されている。または相手の駒が効いている
           マス目を通過する時。
       〔 b 〕キングとルークの間に駒がある時。
( B )相手のキングを攻撃する駒はその駒自身が攻撃されている場合及びその駒自身が
     動けない場合も含めキングを「 チェック 」していると言う。
     相手をチェックしたとき「 チェック 」の発声による宣言は不必要である。
     いずれの対戦者も自らのキングがチェックになるような着手はできない。
     いずれの対戦者もチェックされているとき次の手でそれを放置できない
     ( 不正規着手 )。


 

 
4章:着手について

4.1
 着手は片方の手だけを使う。

4.2
 手番を持つ対戦者は( 盤上の駒が整然としていないとき )予め意志を示す発言(例:ジャドゥブ・失礼等)の後、着手と関係なく駒を動かし盤上の駒の位置を整理出来る。

4.3
 前項の場合を除いて手番の対戦者が盤上の駒に意識的に触った場合。
( a )自分の駒に触ったときは、最初に触った自分のその駒を使って移動もしくは
    捕獲しなければならない。
( b )自分の駒と相手の駒に触ったときは、その自分の駒でその相手の駒を
    捕獲しなければならない。本来の駒の動き( 正規着手 )によっては
    その手が出来ない( 不正規着手 )ときは、最初に触った駒を移動または
    捕獲する。
    いずれの駒を先に触ったか不明の時は自分の駒を最初に触ったものとして扱う。

4.4
( a )ルークとキングに触った場合キャスリングが正規着手となる限り、
    触ったルークのある側にキャスリングしなければならない。
( b )初めルークに触りつぎにキングに触った場合キャスリングが正規着手であっても
    キャスリングはできない。( 4.3参照 )
( C )キャスリング目的でキングだけ、またはキングとルークに触った場合、
    そのルークのある側にキャスリングすることが不正規なときは、
    違う側にキャスリングしなければならない。それも不正規の時は、
    キングを動かさなければならない。以上いずれも不正規の時は、
    いずれ の駒を使った着手も自由である。

4.5
 触った駒の一つを使うことによって正規着手が出来ないときは、いずれの駒を使った着手も自由である。

4.6
 相手が4.3または4.4に該当した後、自分の着手を挟んだ後は、対戦者はその項の適用の申し立ては出来ない。

4.7
 着手または着手の一部として一度駒が手からはなれてひとつのマス目に置かれた時は、他のマス目に移動できない。この時駒の動きとして3章に従うことが出来る場合は、最初に手から離した行為を着手とする。


 

 
5章:ゲームの完了

5.1
( a )正規の着手をもって相手のキングがチェックメイトされたゲームを勝局とし
    チェックメイトした対戦者の勝ちとする。
( b )相手が投了( 降参 )を宣言したとき、ゲームは直ちに終了し、
    宣言を受けた対戦者の勝ちとする。

5.2
 ゲーム中に、手番にある対戦者のキングがチェックされておらず、かつ、正規の着手が不可能な局面が生じたときこの局面をステイルメイトという。ステイルメイトが生じたとき、ゲームは直ちに終了し引き分け( 和局 )となる。

5.3
 ゲーム中に、二人の対戦者が合意することによって、ゲームは直ちに終わる。( 9.1参照 )

5.4
 ゲーム中に盤上に同じ局面が3回出来た場合または次の着手に依って出来る場合、引き分とすることができる。( 9.2参照 )

5.5
 ポーンの動きがなく、かつ駒の取り合いがないまま、50手続いた場合、または次の手で50手続く場合、引き分けとすることができる。( 9.3参照 )



競技会・ルール
 

 
6章:対局時計

6.1
 対局時計( チェスクロック )とは二つの時計を連結し一度にどちらか1個 だけが交互に動く時計である。この棋約でいう「 時計 」とは二つの、時刻表示盤のうちの一つを言う。また「 旗が落ちる 」とは、対戦者に割り当てられた時間が切れることを言う。

6.2
 対局時計を使うとき、各対戦者は定められた数の着手または全局を定められた時間内または着手毎に割り当てられた時間内に完了しなければならない。この手数と制限時間の関係( 持時間 )はゲームの開始時に設定されていなければならない。

6.3
 対局時計の二つの時刻表示盤はそれぞれ「 旗 」をもつ。旗が落ちた場合は直ちにに8.1に示す要項を参照する。

6.4
 時計を置く位置はアービターが決める。

6.5
 時計は決められたゲームの開始の時刻に、白番の対局者の消費時間を示す時計からスタートさせる。

6.6
 ゲーム開始予定時刻から、1時間以上遅れて盤の前に着席した対局者は負けとされる。( 競技会のルールが別の定めを持った場合、またはアービターが別の決定をする場合を除く。 )

6.7
( a )ゲーム中、自分の着手を実行した対戦者は自分で自分の時計を止めることにより
    相手の時計を走らせる。着手の実行の後であっても、5.1、5.2または5.3で
    示されたケースによってゲームが終了した場合を除き、自分の時計を止めこと
    により相手の時計を走らせることがなされていないときはその着手は
    いまだ完了したとしない。着手完了のための一連の行為の間に要する時間は
    その対戦者の消費時間となされる。
( b )対戦者は駒を動かした手と同じ手で時計を止めなければならない。
    対局時計のボタンの上に手を置いたり、手で覆ったりすることは禁止事項である。
( c )対局者は時計を正しく扱わなければならない。時計を気合いを入れて叩くこと、
    持ち上げること、または、故意に倒すことはいずれも禁止事項である。
    時計の取扱に不作法のあった場合は13.4に従い確実に罰せられる。

6.8
 審判員が事実を見たとき、または対戦者の一人が有効な申し立てをしたとき、「 旗が落ちた 」として扱われる。

6.9
 5.15.25.3が適用される時を除き、決められた持ち時間内に、決められた手数を終了しない場合、ゲームは負けとなる。ただし、その時の局面が好手悪手を問わないどの様な着手の応酬によっても相手側に勝つことの出来る可能性が無いものであるときは引き分けとする。

6.10
 時計によって与えられた表示は明白な欠点の証明が無い限り決定的なものとする。明白な欠点の発見された時計は交換される。時計の交換に伴う持ち時間の調整はアービターの判断とする。

6.11
 二つの旗が落ち、どちらの旗が先に落ちたか判定できないときは、ゲームはスケジュールに従いアービターの指示によりそのまま続行または引き分けとして終了する。

6.12
( a )ゲームを中断しなければならない状況が生じた場合、
    アービターが二つの時計を止める。
( b )対戦者はこの棋約に従い、アービターの裁定または援助を求めるとき、
    時計を止めることができる。
( c )中断したゲームの再開はアービターが指示する。

6.13
 何かの事情で盤上の配置が撹乱され正しい局面が不明となった場合あるいはその他予期せぬ事態により局面整理時間を要したりした後の双方の持ち時間調整はアービターの裁量とする。

6.14
 対戦者は使用中の対局時計の表示に基づく以外の根拠を持って持ち時間に関し如何なる申し立てをすることもできない。


 

 
7章:不正規な局面について

7.1
( a )ゲーム中、駒の最初の配置が不正規であったことが発見された時は、
    そのゲームは無効とされ、最初からやり直す。
( b )ゲーム中、チェス盤の向きだけが間違って( 右下を黒として )置かれている事が
    発見されたときは盤の向きを正し、ゲームは続行する。

7.2
 白番と黒番を取り違えてゲームが始められたときは、ゲームはそのまま続けられる。

7.3
 対戦者が盤上の駒を非故意で乱したり番外にはじき出してしまったりしたときは、その対戦者は自分の持ち時間を使って駒を正しく置き直さなければならない。相手が正しく駒を置き直しせずに対局時計のボタンを押したときは、他方の対戦者は自分の着手なしに直ちにボタンを押し返し、相手に置き直しを強要することが出来る。

7.4
 ゲーム中、不正規な動きあったことが発見された場合( なん手以前であるかに拘らず )が分かったとき、局面をその不正規着手のあった直前まで戻して( その後の着手をすべて無効として )その局面からゲームを再開する。不正規着手の直前の局面が不明の時は、正規着手が続いた事が分かる最後の局面まで遡る。このときの持時間調整は6.13による。このときの不正規着手のやり直しについては4.3を参照。


 

 
8章:棋譜の記録

8.1
 ゲームの進行中各対戦者は規定された記録用紙に自分と相手の着手の記録を1手1手、座標式表記法を使ってはっきりと明瞭に書き残さなければならない。( 次の自分の着手の前にそれ以前の自分の着手の記録をする。 )引き分けの申し出または申し込みがあった場合は対戦者の双方が申し出申し込みの着手の後に( D )または( = )の記号を持って記録用紙に記録しなければならない。

8.2
 棋譜記録用紙と棋譜記録はアービターがいつでも見えるようしておかなければならない。

8.3
 棋譜記録用紙と棋譜記録はその競技会の主催者の財産である。

8.4
 もし対戦者の自分の持時間の節目が5分を切った場合、( 1手毎に30秒以上追加される場合を除き )8.1はそのまま適用されない。節目の後、持時間の追加がある場合は、追加された後直ちに欠落した記録を修復し、棋譜記録を完全にしなければならない。

8.5
( a )8.4により、どちらの対戦者も記録をとる必要が無いとき、
    アービターとアシスタントが充分用意されている競技会ではアービターまたは
    アシスタントが記録を取る。この場合、どちらかの旗が落ちて持時間が追加
    されたときアービターは時計を止め、対戦者の双方はアービターまたは相手の
    記録を使って記録を完成さなければならない。
( b )8.4により一方の対戦者だけが記録をとる必要が無くなったとき、
    相手の記録をつかって前項を適用する。このとき、その対戦者は、
    棋譜記録の修復を完了し相手の棋譜記録用紙を相手に返還するまで
    自分の着手にはいることはできない。
( c )双方の記録に脱落があり棋譜記録の修復が困難なときは、
    アービターの監視の元に別のチェス盤を使って、対局者双方が協力して
    局面と経過した手数を再構築する。

8.6
 一方の対戦者が持ち時間を越えていて、いずれの方法でも記録を復元できない場合、明白な反証のない限り、次の手を次の持ち時間の1手目と見なす。


 

 
9章:引き分け

9.1
 対戦者はチエス盤に自分の次の手を指し示しながら相手に引き分けを申し入れることができる。この申し入れは自分の時計を止め、相手の時計を進める前にしなければならない。これに反した時の引き分けの申し出は有効とするものの12.5に抵触するものとして扱われる。引き分け申し入れに際しては付帯条件をつけることはできない。引き分けの申し入れを行った場合は相手が口頭で、もしくは着手を返すことをもって拒否した場合を除いて撤回できない。引き分けの申し入れがあった場合、対戦者双方が記録用紙に( = )と記録する。

9.2
 相手の着手によって同じ局面が少なくとも3回生じたとき、手番の対戦者が申し出てそれが真正であるとき、ゲームは引き分けとなる。( 同じ着手であることを必要としない。 )自分の次の着手で同じ局面が3度目に生じるとき、その着手を記録用紙に記入してアービターにその旨申告することによってもゲームは引き分けとなる。同じ局面とは盤面上の駒の配置がすべて同じで、かつ、手番が同じでありアンパサン、キャスリングの可能性の有無が同じ時を言う。同じ種類の二つの駒が入れ替わった事をもって別の局面とはしない。

9.3
 連続50手以上の間、双方のポーンが動かず、かつ、双方に捕獲の無い状態が続いた相手の着手によって、同じ局面が少なくとも3回生じ、手番の対戦者が申し出てそれが真正であるときゲームは引き分けとなる。自分の次の着手でこの状態が50手続くことになるとき、その着手を記録用紙に記入してアービターにその旨申告することによってもゲームは引き分けとなる。

9.4
 対戦者が申し出をせずに次の着手を完了した場合は、9.29.3による権利を一時的に失う。

9.5
 対戦者が9.29.3により引き分けの申し出をした場合、その対戦者は直ちに双方の時計を止める。この申し出を撤回できない。
( a )申し出が真正のとき、ゲームはすぐに引き分けとなる。
( b )申し出が誤りであったとき、申し出をした対戦者の持時間から最高3分を減じ
    相手の持時間に3分を追加してゲームを続行する。

9.6
 いずれの側からもチェックメイトする手段と可能性が無い局面が生じたときゲームは直ちに引き分けとなる。


 

 
10章.ギロチン

10.1
 限られた時間に全局の着手を行う競技の時間切迫による終局間際をギロチンと言う。

10.2
 残り2分を切った対戦者は旗の落ちる前に時計を止めて引き分けを申し立て、アービターの裁定を受けることができる。
( a )アービターは、申し立てた対戦者の相手が尋常の手段で勝つための努力を
    していないと見なした場合、または尋常の手段では勝つ事ができないと判断した
    場合、引き分けを宣告するあるいは、裁定を延期する。
( b )アービターが裁定を延期する場合、申し出た対戦者の相手の持時間2分を
    追加しゲームはアービター立会いの元に続行される。
( c )裁定延期の場合、アービターはいつでも引き分けの宣言( または却下 )を
    することができる。旗が落ちた後でもアービターは引き分けを宣言することが
    できる


10.3
 不正規着手は直ちに負けとはならない。ただし、対戦者によつてなされた最初の不正規着手と同じ対戦者による2度目の不正規着手に対しては相手の持時間に2分を追加する。同じ対戦者による3度目の不正規着手があった時、アービターはその対戦者の負けを宣告する。

10.4
 双方の旗が落ちて、どちらが先に落ちたか分からない場合、ゲームは引き分けとする。




  11章:採点

11.1
 ゲームに勝った対戦者は1点を獲得する。ゲームに負けた対戦者は0点である。引き分けした対戦者はそれぞれ1/2点を獲得する。


 

 
12章:対戦者の品行

12.1
 対戦者には高度の礼儀作法が期待される。

12.2
 ゲーム中、対戦者がメモを使うこと、情報を得ること、アドバイスを受けること、他の盤を用いて分析することは禁止事項である。記録用紙には棋譜記録と消費時間の記録、引き分けその他の申し出、申し込みの記録以の事項を記録することはできない。

12.3
ゲームの行われる部屋で、対戦者または観客がゲームの分析をすることは禁止事項である。自分のゲームを終わった対戦者は、観客として扱われる。

12.4
 対戦者はアービターの許可なしで会場から離れることはできない。会場とはゲームの行われる部屋、休憩室、洗面所、喫煙所、その他アービターが指定する場所をいう。対戦者は自分の手番の時に、アービターの許可なしに席をはなれることはできない。

12.5
 対戦者が盤上の着手以外に、如何なることがあっても如何なる方法によっても相手を困惑させたり、動揺させることは禁止事項である。これは( 相手が受け入れないと予想されているときの )引き分け申し入れのくりかえしはこの禁止事項に該当する。

12.6
 対戦者が12.212.5のいずれかの部分に違反した場合、13.4によりペナルティをうける。

12.7
 棋約に従うことを繰り返して拒否した対戦者は負けとされる。この時相手の得点はアービターの判断にしたがう。

12.8
 双方の対戦者が12.7により有罪の場合、二人とも負けとする。


 

 
13章:アービターの役割

13.1
 アービターはチェス棋約を厳格に適用する。

13.2
 アービターは競技を成功させることを最高利益として行動する。競技環境の維持はアービターの一つの役割である。アービターは競技( 会 )の進行の采配をおこなう。

13.3
 アービターは特に時間が切迫しているとき各ゲームを見守り、各種の自ら下した裁定を執行し適正なペナルティを該当者に課さねばならない。

13.4
 罰則の適用は下記の内アービターの自由裁量とする。
( a )警告。
( b )相手の持ち時間追加。
( c )違反者の持ち時間削減。
( d )負けを宣告。
( e )そのイベントから追放。

13.5
 審判員は外部から極端な妨害があったとき、一方または双方の対戦者に時間を追加できる。

13.6
  アービターは8.5の場合( どちらかの旗が落ちた場合 )を除いて、対戦者に経過したゲームの手数を示すことによってゲームに干渉することはできない。アービターは対戦者が着手を完了したことを相手に教え、または着手実行の後、時計を押し忘れていることを対戦者に教えることはできない。

13.7
 観客及び対戦者がゲームについて話したり、その他の介入をしたりすことは禁止事項である。アービターが必要と判断する場合、会場から違反者を追放することができる。


 

 
14章:FIDEとJCA

14.1
 国際棋約の適用に関して問題が生じた場合、JCAはFIDEに公式の決定を委ねることができる。

14.2
日本棋約の適用に関して問題が生じたとき、JCAに登録されたクラブ/サークル・リーダー及びJCAから資格を与えられた競技主任は別に定める手続きに従いJCAルール審議会に公式決定を求めることができる。

14.3
国際棋約の適用に関して問題が生じた場合、JCAに登録された連盟代表は別に定める手続きに従いJCAルール審議会に見解を求めることができる。この場合14.1を適用するか否かはJCAルール審議会の裁量とする。

14.4
JCAは日本国領域内で行われるチェス競技会が円滑に運営されるために諸規定を定める。




 
15章:全国大会競技ルール

 手数の制限なく持ち時間が一定の時間を経過したとき、持ち時間が打ち切りになるチェスにおける時間切れの周辺についてのガイドライン。

15.0
 時間打ち切り性のチェスは「切れ負け」「指し切り」のいずれでもありません。原則として「封じ手」もありません。

15.1
 次の局面が生じた時は対戦者の一方がいつでも時計を止めて引き分けを申し立て出来ます。
 1-1 FIDEのLAW OF CHESSの規程する局面。
 1-2 K+R 対 K+R または K+Q 対 K+Q
 1-3 ポーンだけの局面での基本的な引き分け定形 (Book Draw)
 1-4 K+N+N 対 K
 1-5 K+B+最終升目の色がBと違う盤端のポーン対K
 1-6 前5項の形の一つに加え、味方を妨害しない(有利または無害となる)自分の駒があるとき。
 引き分け宣言を受けた相手がその局面から強制的な手順でメイトまたは駒のただ取りの出来る特殊な場合は、その手順の指摘が正しくあったとき、アービターは相手の勝ちを宣言します。

15.2
 相手の時間切れ、または時間切迫によるパニック以外に積極的に勝つ(または引き分ける)手段の可能性がないときは、対戦者は引き分けの合意(または投了)をしてください。

15.3
 一方が時間切れとなったとき、その局面から直ちに強制的な手順でメイトもしくは明白な勝形(例 K+R 対 K)に至ることを示し、勝ちを申し立てたとき、(チェスの国際習慣が日本のチェス界に定着するまでの経過的ルール)その場合申し立ての正当性はアービターが裁定します。

15.4
 引き分けまたは勝ちの申し立てがあった時の有効性の判断及びそ他の問題の解決・予防などについては、アービター(またはアービターの指定した人)は、局面の優劣に関係なく、時間の優勢な方が相手の時間切れだけを狙う、「戦術的、戦略的に意味のない着手」を続けているゲーム(2項違反のゲーム)について干渉し、局面の優劣に関係なく、引き分けの勧告を権限を持ちます。このアービターの勧告に従わない場合は、国際公式戦への選手被指名権を失います。

15.6
 アービター(またはアービターの指定した人)が局面・着手等の判定をするときは対局者の棋力差、残り時間差を考慮に入れません。(これはチェス界でのグランド・ルールです。)
註: 決められた手数を決められた時間内に完了させ持ち時間が延長によって打ち切りにならない方式(23手60分迄)のゲームでは以上のルールは適用されず「切れ負け」になります。(「1日指し切り(終了時刻不定)」と「封じ手(終了時刻制定)」があります。)